遺品整理の現場で特に多いのが、不動産に関する手続きです。故人が所有していた自宅や土地は、相続が発生するとそのままでは売却や活用ができません。正式に相続人へ名義変更（相続登記）を行う必要があります。例えば、実家を売却して遺産を分けたい場合や、相続人の一人が住み続けたい場合など、登記を済ませていなければ不動産の権利を移動させることはできません。この名義変更手続きは専門知識が必須であり、誤りがあると登記が受理されないリスクもあります。そのため、遺品整理を進める際に権利証や固定資産税通知書が見つかった場合は、司法書士に相談することが安心につながります。

故人名義の銀行口座や預金は、相続が開始すると凍結され、相続人であっても自由に引き出すことができなくなります。これを解約したり、相続人へ分配するためには、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成など、煩雑な手続きが必要です。複数の金融機関に口座がある場合、それぞれに手続きを行う必要があり、専門知識がないと大きな負担となります。司法書士は、こうした相続に伴う書類作成や相続人の確認をサポートし、スムーズな解約・分配を実現してくれます。遺品整理の現場で通帳やキャッシュカードが見つかった際は、早めに司法書士へ相談することが、円滑な相続手続きにつながります。

遺品整理を進めると、不動産や預貯金、貴重品などの資産が明らかになり、相続人同士での分配が避けられないケースが出てきます。相続人が複数いる場合、遺産の分け方について意見が分かれ、トラブルに発展することも少なくありません。特に不動産のように分割が難しい財産では、誰が引き継ぐか、売却して現金化するかなどの合意形成が必要です。こうした場面で重要な役割を果たすのが司法書士です。司法書士は、遺産分割協議書の作成や登記手続きを通じて、法的に有効な形で相続を進めるサポートをしてくれます。専門家の関与によって、相続人同士の調整もスムーズになり、無用なトラブルを防ぐことが可能になります。